私と建築との出会いは、小学5年生の頃。実家を建て替えるという大きなイベントを体験したことです。古い家は昔ながらの造りでお風呂はいわゆる五右衛門風呂、台所は玄関を入った土間続き。本家の隣には長屋があったため、曳家という工法で長屋を移動させた後、建て替えに着工しました。

曳家までして長屋を残そうとしたのには大きな理由があります。祖父は地元では信頼の厚い大工の棟梁で、その長屋も含め地元でたくさんの家を建てたそうです。父が子供の頃に、祖父は戦死したため跡を継ぐことはできませんでした。建て替えを引き受けてくれたのは祖父の教えを受けた大工さんでした。だからどうしても長屋を壊したくなかったのです。建物を動かす工法、そして住宅の新築。この大イベントを経験した私はどんどん家造りに惹かれていき、建築の道に進んだのは自然の流れだったような気がします。

大学を卒業し、就職先として選んだのはデザイン性を重視する商業施設や博物館の設計・施工を得意とする会社です。そこで現場管理や企画営業としてたくさんの商業施設に携わってきました。

そのときの経験を活かし、知識、技術、デザインを活かした建築サービスを提供するために、デュー・ワークスタジオを立ち上げました。お客様に喜んでいただくためのサービスを追求し、誠実に仕事に取り組むこと。そんな思いを大切にしながら、社員一同、深い専門知識を身につけ、センスを磨いて業務に取り組んでまいります。